歯を抜かない「非抜歯矯正」を受ける前に知っておきたいこと

歯科コラム COLUMN

「矯正はしたいけど、歯は抜きたくないんです・・・」
「歯を抜かないで矯正できる方法ってないんですか?」

これらは、矯正治療をお考えの方から、よくいただくご相談です。矯正と言うと、歯を抜いて歯並びを整えるものだというイメージがありますが、歯を抜かずに歯並びを整える「非抜歯矯正」という手法もあります。歯を抜かなくて済むなら非抜歯矯正のほうが良いと思ってしまいがちですが、実はそんなに簡単な話でもありません。

今回は、歯を抜かない「非抜歯矯正」を受ける前の注意点についてご説明していきましょう。

矯正治療の3つの方法

歯並びが悪くなる原因の多くは、顎が小さかったり歯が大きかったりするために、全部の歯が正しい歯列に収まりきらないといったものです。歯が収まりきらないことが原因であるならば、矯正治療は「歯がきれいに並ぶための隙間・スペースをつくる」ことが基本になります。それでは、隙間・スペースをつくるにはどうしたら良いのでしょうか? 一般的には、以下の3つの考え方でスペースをつくる可能性を探ります。

(1)抜歯する

いわゆる、抜歯矯正です。歯を抜けば、当然抜いた歯の分だけスペースができますよね。矯正治療では多く用いられる手法ですが、この方法のデメリットは何と言っても健康な歯を抜かなければいけないこと。歯を失ってしまうことに抵抗を感じる方は多いはずです。

(2)1本1本の歯を削って小さくする

スペースをつくるために、歯と歯の間の部分を少しずつ削るケースです。この方法は歯を抜かずに済みますが、健康な歯を削ることで歯が細くなり、見た目に違和感が出てしまうことがあります。
※最近では、歯を削って小さくするというより、矯正中により歯が動きやすくするために歯の表面にあるエナメル質だけをごく僅かに削るケースがほとんどです。

(3)歯列全体を拡げる

いわゆる、非抜歯矯正です。奥歯をさらに奥に動かしたり、歯列全体を側方へ拡大したりすることで歯が並ぶスペースをつくります。この方法は、歯を抜いたり削ったりしないのが最大のメリットです。

こうして見ると、(3)の非抜歯矯正がもっとも理想的な矯正方法に思えるかもしれませんが、実はそうとは限らないのです。

非抜歯矯正で起こりうるデメリット

歯を抜かずに歯並びをきれいに整えられるなら、それがベストですが、そういったケースばかりではありません。歯を抜かないことにこだわり、無理に歯列を拡大しようとすると、歯並びが前後に拡がってしまうケースがあります。こうなると、横から見たときに口元が前に突出してEラインが崩れてしまいます。歯は並んでも、口元全体のバランスが崩れてしまったら、何のために矯正治療を受けたのか分かりませんよね。本来、抜歯したほうが良い症例であるにもかかわらず、非抜歯で治療すると逆に良い結果が得られないケースもあるということは、覚えておいてくださいね。

新宿スワン歯科・矯正歯科 院長より

スワン歯科では、できるだけ健康な歯は抜きたくないと考えており、非抜歯矯正を第一に検討していきますが、上述のように、もちろん常に非抜歯矯正が最善の選択肢であるとは限りません。歯を抜く・抜かないにとらわれすぎず、正確な診断のもと、患者様にとって最適な矯正方法をご提案し、最終的には患者様ご自身で後悔のない治療法を選択していただくことが何より大切だと考えています。

また、インビザラインというマウスピース矯正の場合は、治療開始前に動画シミュレーションで歯の動きを確認するも可能です。治療を受ける前に、歯を抜いた場合の仕上がり予測、抜かない場合の仕上がり予測を確認していただけます。実際に未来の歯並びを見てみることで、自分自身でより納得のできる判断ができますので、興味のある方はお気軽にご相談くださいね。
» 未来の歯並びが見える?~インビザラインのクリンチェック~

次回の歯科コラムは、9月18日(金)の公開を予定しております。ぜひお楽しみに。