歯磨き不足?甘い物?それとも遺伝!?~虫歯の原因を考える~

歯科コラム COLUMN

歯磨き不足?甘い物?それとも遺伝!?~虫歯の原因を考える~

私たちにとって身近な病気である「虫歯」ですが、原因がはっきりしているので、逆に言えば予防することは比較的簡単です。では、虫歯の原因は一体何なのでしょうか?

100人の方にアンケートを行ったところ、右のグラフの結果になりました。1位が「歯磨き不足」で62%、続いて「人からの感染」「遺伝的に歯が弱い」「甘い物の食べ過ぎ」と続きます。これらの回答はすべて、ある意味で正解だと言えますが、100点満点の回答とは言えません。今回は、虫歯の原因について詳しく解説していきましょう。

虫歯の原因って何?

虫歯の直接的な原因は、「虫歯菌」です。お口の中に虫歯菌がいなければ、歯磨きをしなくても、どれだけ甘い物を食べても虫歯にはなりません。遺伝的に歯が弱くても、虫歯になることはありません。諸悪の根源は虫歯菌なのです。この虫歯菌ですが、残念ながらほとんどの方のお口の中に存在しています。では、どのようにしてお口の中に入ってきたのでしょうか?

虫歯菌は親から移る!?

生まれたとき、私たちのお口の中に虫歯菌は存在しません。ほとんどの場合、赤ちゃんの頃、お母さん・お父さんなど家族から感染しているのです。たとえば、口移しでの食事、スプーン・お箸など食器の共有、キスや会話などによる唾液の飛散によって、虫歯菌は移るのです。もちろん、これらの行為を避ければ赤ちゃんが虫歯菌に感染するリスクは低くなりますが、現実的には難しいでしょう。赤ちゃんが生まれたら、愛情をたっぷり注いでスキンシップをとるのが親ですからね。

虫歯予防の基本は歯磨き!

虫歯菌はプラーク(歯垢)の中に潜んでおり、食べカスなどに含まれる糖を栄養源にして酸をつくり出し、その酸によって歯を溶かします。この虫歯のメカニズムを考えると、虫歯を予防するためには虫歯菌を減らすことが必須であり、そのためにはプラークを減らすこと、つまり毎日の歯磨きが重要だということが分かります。冒頭のアンケートの1位となった「歯磨き不足」は、虫歯菌を増やしてしまう原因になるということですね。
» 毎日の歯磨きのポイントはこちら

甘い物は虫歯の原因じゃない!?

みなさん、子供の頃から「甘い物を食べると虫歯になる」と教えられてきたと思います。これは決して間違いではありませんが、適切な指導とは言えません。たしかに、虫歯菌は糖分を栄養にして酸をつくるので、糖分を多く含んだ甘い物は虫歯菌の大好物だと言えます。それなら、甘い物を食べなければ虫歯にならないのかと言えば、そうではありません。私たちが口にする物のほとんどは、多かれ少なかれ糖分が含まれているのです。

虫歯にならないために大切なのは、甘いか・甘くないかではなく、食べカスを長時間残さないことです。実は、ポテトチップスやおせんべい、クラッカーなどは甘くはありませんが、歯に残りやすく虫歯になりやすい食べ物だと言えます。同様に、ダラダラ食べるのも良くありません。間食が多くなると、お口の中が酸性に傾いている時間が長くなり、虫歯のリスクが高まってしまうのです。

グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科 院長より

「虫歯の1本や2本、みんなあるでしょ?」――日本では、虫歯くらい当たり前という雰囲気がありますよね。一方で、スウェーデンなどの北欧では、虫歯がないことが当たり前になっています。日本人も、「虫歯をどう治すか?」ではなく、「虫歯にならないために、どうすべきか?」ということに目を向けていかなければいけませんね。スワン歯科は、今後も本コラムを通じて様々な情報を発信し、お口の健康について正しい知識を広めていきたいと考えています。

次回の歯科コラムは、11月16日(月)の公開を予定しております。ぜひお楽しみに。