お母さんのための小児矯正講座(2)~前向きに取り組んでもらうために~

歯科コラム COLUMN

自分から「歯並びをよくしたい」「矯正治療を受けたい」と言ってくる子どもはほとんどいません。子どもに矯正治療を受けさせようと考えたとき、「嫌がらないだろうか・・・」「ちゃんと続けてくれるだろうか・・・」という不安はつきものです。小児矯正における最初の難関は、「子どもをやる気にさせること」だと言ってもいいかもしれません。

小児矯正は、長い期間をかけて歯並びを整える治療ですから、お子さんが自らの意志で治療を受けなければ最後まで続けられません。お子さんに前向きに治療に取り組んでもらうために、親御さんはどんなことができるでしょうか?

お子さんの意識を高めてあげよう!

不安や恐怖を抱いているお子さんに無理やり矯正治療を受けさせても、なかなか良い結果は得られません。前向きに治療を受けさせ、矯正を成功させるためには、親御さんが日頃の生活のなかで「歯並び・噛み合わせの大切さ」を教えてあげることが重要です。まずは親御さんが、「よく噛むことの大切さ」「よくない歯並びのデメリット」など、正しい知識を身に付けることからはじめましょう。

よく噛むことの大切さ

昔、両親から「よく噛んで食べなさい」と注意された人は多いと思いますが、「どうしてよく噛んで食べなければいけないのか?」を自分のお子さんに説明できる人は少ないかもしれません。食べ物を美味しく食べ、健康に必要な栄養を体内に取り込んでいくには、よく噛んで食べることが基本になり、そのためにはきれいな歯並び・正しい噛み合わせが欠かせません。特に成長期のお子さんには、以下のようなメリットについて説いていくことが非常に重要です。


【よく噛んで食べると・・・】
・だ液がたくさん出るため、食べ物の消化が促され、栄養の吸収が良くなる。
・顎の骨や筋肉の発育が促され、表情が豊かになる。
・脳に流れる血液の循環が良くなり、脳の健康が促進される。
・食べ物の美味しさや歯ごたえを十分に感じて食事ができ、食べることの幸せ、豊かさを実感できる。

よくない歯並びのデメリット

小・中学校は、勉強やスポーツ・部活などにエネルギーをぶつける時期。この時期に歯並び・噛み合わせが悪いまま過ごすと、外見的なコンプレックスの原因になるだけでなく、様々なことに支障が出てきます。

【歯並び・噛み合わせが悪いと・・・】
・隅々まで歯を磨けないため、虫歯になりやすくなる。
・息が漏れやすくなり、発音が不明瞭になることがある。
・よく噛めないためにだ液の分泌量が少なくなり、食べ物の消化が悪くなるほか、しっかり噛み砕けないまま飲み込むことで胃腸に負担がかかる。
・食べ物の歯ざわりや噛みごたえを十分に感じられず、食べる楽しみを実感しにくくなる。
・肩こりや頭痛の原因になることがある。
・勉強・スポーツで持てる力を十分に発揮できないことがある(集中力を高めたり、体のバランスを保ったり、力を振り絞ったりするとき、私たちは歯を強く噛みしめます)。

グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科 院長より

子どもの頃から歯の健康への意識を高めておくと、いざ矯正治療を受けることになったときも、自然に受け入れてくれるものです。そのためにはやはり、親御さんが日頃から歯や歯並びに関する正しい知識を教えてあげることが大切ですね。

不定期になりますが、本コラムでも「お母さんのための小児矯正講座」を続けていきますので、ぜひ参考にしてください。次回の歯科コラムは、5月23日(月)の公開を予定しております。お楽しみに。