お母さんのための小児矯正講座(6)お子さんの「六歳臼歯」を大切に!

歯科コラム COLUMN

お子さんの「六歳臼歯」を大切に!

子どもは6歳前後から乳歯と永久歯が交代していき、13歳くらいで28本の永久歯が生えそろいます。乳歯が生え替わるとき、最初に生えてくる永久歯が第一大臼歯です。この歯は、6歳くらいに生えてくることから「六歳臼歯」とも呼ばれ、非常に重要な永久歯だとされています。

六歳臼歯ってどうして重要なの?

六歳臼歯は、永久歯のなかでもっとも大きく、噛む力がもっとも強い歯です。食べ物を細かくすり潰し、消化するために極めて重要な役割を果たします。また、その後に生えてくる永久歯の歯並びを決定づける歯でもあります。

六歳臼歯が歯並びを決める!?

六歳臼歯は、きれいな歯並びや正しい噛み合わせをつくるための「土台」になる歯です。六歳臼歯が前後・上下ともにピッタリと噛み合ってはじめて、他のすべての歯がうまく噛み合う状態になるのです。逆に、六歳臼歯が傾いて生えていると、続いて生えてくる小臼歯や犬歯も傾いたり飛び出したりしてしまいます。六歳臼歯の生え方次第で、永久歯全体の歯並びが左右されると言っても過言ではないでしょう。

六歳臼歯が正しく生えてくるようにするには?

それでは、六歳臼歯が正しく生えてくるための条件とは何でしょうか? 1つ目は、顎の骨がしっかり発育していることです。顎の骨の成長が遅いと六歳臼歯が生えてくるスペースが足りず、真っ直ぐに生えることができません。2つ目は、抜歯した乳歯がないことです。乳歯の段階で、たとえば第一乳臼歯が虫歯になって抜けてしまうと、そのすき間を埋めようとして隣の歯が動くため、六歳臼歯も傾いて生えてきてしまいます。親御さんとしては、お子さんの「顎の成長を促すこと」と、「乳歯の虫歯を予防すること」が非常に重要になってきます。
>> お母さんのための小児矯正講座(4)お子様のキレイな歯並びのためにできること

六歳臼歯は虫歯になりやすい!?

六歳臼歯が真っ直ぐ生えてきたからと言って、安心してはいけません。なぜなら、生えたばかりの六歳臼歯は非常に虫歯になりやすいからです。六歳臼歯は、乳歯の奥歯のさらに後ろに生えてくるため、そもそも生えてきていることに気付きにくいという問題があります。生えていることに気付いていなければ、意識してその歯を磨くこともできません。また、「深くて複雑な形状の溝に食べカス・歯垢が詰まりやすい」「歯ブラシが当たりにくい」など、虫歯になりやすい条件が揃っています。

六歳臼歯を虫歯から守るには?

六歳臼歯の虫歯予防には、フッ素塗布が効果的です。フッ素はエナメル質の石灰化を促し、虫歯菌が出す酸に溶けにくい強い歯にする働きがあるので、フッ素入りの歯磨き粉を使うのはもちろん、歯科医院でフッ素塗布を受けるのがおすすめです。また、シーラント(歯の溝を合成樹脂でふさぐ処置)も有効です。ご自宅でのケアに加えて歯科医院での予防処置を受けて、お子さんの六歳臼歯を虫歯から守ってあげましょう。

グラントウキョウスワン歯科・矯正歯科 院長より

乳歯と永久歯とが入れ替わる時期に、たった1本の歯(六歳臼歯)がうまく生え替わらなかったために、その後、乱れた歯並び・噛み合わせで過ごさなければならないのは、お子さんの人生にとって大きなマイナスだと思います。将来、お子さんが歯並びで悩んだり苦しんだりしないよう、六歳臼歯が生えてくるまでに一度、お口の検診を兼ねて歯科医院へ矯正のご相談に行かれることをおすすめします。

次回の歯科コラムは、8月22日(月)の公開を予定しております。ぜひ、お楽しみに。