良くない歯並び(不正咬合)の種類|叢生(そうせい)編

歯科コラム COLUMN

良くない歯並び(不正咬合)でお悩みの方は数多くいらっしゃいますが、その症状にはいろいろな種類があります。不正咬合の種類によって、「どのような問題があるのか」「どんな矯正治療が最適なのか」が変わってきます。今回は、不正歯列のなかでも日本人にもっとも多い「叢生(そうせい)」について解説していきたいと思います。叢生を改善するために矯正治療をお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね。

日本人にもっとも多い叢生とは?

厚生労働省が行う「歯科疾患実態調査(平成23年)」では、12~20歳の男女の前歯の不正咬合の状態として、叢生(そうせい)がもっとも多いという結果が出ています。2番目に多い上顎前突との差を見ても、いかに叢生の方が多いかが分かるでしょう。

※出典:厚生労働省 平成23年歯科疾患実態調査

叢生(そうせい)とは?

叢生は、歯が顎に入りきらず、重なり合ってデコボコになっていたり、ガチャガチャになっていたりする状態です。「叢生」と言うと耳慣れないかもしれませんが、いわゆる「乱ぐい歯」と同じ意味です。ちなみに、「八重歯」も叢生の一種です。

上記のグラフに登場する、他の不正歯列についても簡単に解説しておきましょう。

■上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上の前歯が下の前歯より前方に突出した状態。いわゆる「出っ歯」のことです。

■空隙歯列(くうげきしれつ)
歯と歯の間に隙間がある状態。いわゆる「すきっ歯」のことです。

■開咬(かいこう)
噛み合わせたときに、奥歯は噛み合っているのに前歯が閉じない状態。「オープンバイト」とも呼ばれます。

■過蓋咬合(かがいこうごう)
噛み合わせたときに、上の歯が下の歯に著しく深く覆い被さっている状態。「クローズドバイト」とも呼ばれます。

■下顎前突(かがくぜんとつ)
上の前歯が下の前歯よりも後ろにある状態。いわゆる「受け口」のことです。「反対咬合」とも呼ばれます。

叢生の原因

叢生は、顎が小さいことが原因で起こることが大半です。顎が小さい人は永久歯が生えるスペースが足りず、後から生えてくる歯が歯列からはみ出し、結果として歯並びがデコボコになってしまうのです。余談かもしれませんが、日本人に叢生の人が増えているのは、近年の食習慣と関わっていると言われています。やわらかい食事が増え、よく噛まなくなったことで、顎が十分に発達しない日本人が増えているのです。

叢生のリスク

叢生の最大のリスクは、虫歯や歯周病にかかりやすいことです。叢生の人は、歯がデコボコで重なり合う箇所が多いため、きれいに歯を磨くのが難しく(歯垢が溜まりやすく)、どうしても虫歯・歯周病のリスクが高くなってしまいます。もちろん、ガチャガチャの歯は年齢・性別を問わず、見た目の面でもマイナスポイントになってしまいます。

叢生の矯正治療

まだ顎の骨が成長過程にある子供のうちなら、非抜歯で矯正できるケースも多々あります。もちろん、大人になり、永久歯が全部生え揃った後の矯正もできますが、抜歯が必要になることがあります。なお、軽度の叢生であれば、歯を削って改善することも可能です。

矯正治療に使用する装置もケースバイケースです。裏側矯正も含めワイヤー矯正は幅広く適用できますが、インビザラインなどのマウスピース矯正で治療できる場合もあります。また、一部の歯だけが叢生になっている場合は、部分矯正で改善できる場合もあります。お子様の歯並びが心配な親御様、またご自身の叢生・乱ぐい歯が気になる方は、まずは歯科医院でカウンセリング・診断を受けてみましょう。
次回は、日本人の不正咬合で2番目に多い「上顎前突(出っ歯)」 について詳しく解説していきます。